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2010年3月31日水曜日

三度目のミャンマー、三度目の正直  (3) インレー湖のトマトがうまい理由(わけ)・・屋外天然の水耕栽培なのだ!(インレー湖 ②)




(インレー湖を手漕ぎ舟で行く住人)

 前回からインレー湖入りしたわけだが、「一日ボートツアー」でだいたいの観光名所はまわり尽くしてしまうので、半日ボートツアーを2回にして、ゆったりとした滞在にするのもおすすめである。インレー湖では、せわしなく動き回るようなことはしたくないものだ。

 観光名所は、南北に細長い湖の南半分に集中しており、ファウンドーウー・パヤーという水上寺院、ジャンピング・キャットで有名なガーペー僧院、高級絹織物や高級蓮糸織物で有名なインポーコン、それに少し遠出していく仏塔の廃墟群ので有名なインデインなどに限られる。
 つまり一日ツアーで、ほぼ回るべき場所は終わってしまうのだ。観光名所のいくつかについては、のちほど紹介はしておこう。


 観光名所にいくのもいいが、やはりなんといっても面白いのは、モーター付きのロングボートでインレー湖を走り回ることである。インレー湖の北半分は湖が拡がっており、私がいったときは霧がかかって、湖水と曇り空の境目がはっきりしないような空間を、ひたすらモーターボートが快音を響かせながら、北へ北へと走るという、なんだかややシュールな感じもなくはなかったのだが、南半分は水上の浮島(floating islands)に人家や畑が密集し、浮島と浮島のあいだ、人家と人家のあいだが運河のような感じになっており、まるでヴェネツィアを隅から隅までヴァポレットで移動してまわっているかのような気分になれるのだ。だから、インレー湖は「東洋のベニス」なのである。

(まさに「東洋のベニス」)

 私が訪れた3月後半は乾期が終わって暑気になる前なので乾燥しており、水位も下がって2メートルくらいしかないらしい。雨期に増水する際には6メートルくらいまで水位が上がることもあるらしい。
 しかし浮島であるかぎり、水位の変化には対応できるのである。ただし、流されてしまわないように水底に杭をうっておく必要はあるが。
 もっとも人家は水底に杭を打って建設しており、木造の高床式建築になっている。これがまた、ヴェネツィアのようで面白い。もちろんヴェネツィアの場合は、石造の建築物だが、舟が唯一の交通手段であるということは共通している。



 さて、本題に入ろう。インレー湖で食べるトマトサラダがなぜうまいのか?

(トマトサラダ こいつは美味い!)

 もちろんミャンマー風サラダドレッシングがうまいということもある。ゴマだれとピーナッツだれがミックスしたドレッシングは実にトマトに合っていて、これだけでミャンマー・ビアとの相性も抜群である。
 でもそれだけでなく、トマト自体がうまいのだ。皮がやや固いが、これは何よりも天然物の証拠、見た目と舌触りが赤いピーマンに似ているが、同じナス科の植物なのでも不思議ではない。

 インレー湖のトマトがうまい理由(わけ)、それは「水耕栽培」にあったのだ!

 水耕栽培というと、日本ではいま話題になっている、屋内の「植物工場」がアタマに浮かぶだろう。パイプのなかを肥料が溶こまれた水が循環しており、土をいっさい使わずに、非常に衛生的に野菜を栽培することができるのが水耕栽培である。この分野では日本が先進的で、環境的に厳しい中近東向けにも輸出商戦が活発化しているというやつである。

 ところが、インレー湖の場合はまったく異なる。屋外天然の「植物工場」なのだ。

(インレー湖の水耕栽培トマト)

 先にもかいたように、インレー湖には浮島が80近くあるらしいが、インダー族は湖で漁業を行うだけでなく、浮島の上に作った畑で野菜の栽培も行っている。ざっと見た限りでは、トマト(上写真)、かぼちゃ(下写真)、へちま、などなどが栽培されているようだ。

(舟いっぱいに積まれたカボチャ)


 浮島は、インレー湖にはふんだんに存在する浮き草のうえに藻や泥で盛り土をして作られており、流されないように湖底に木の杭をうって固定されている。また、湖底の泥を掬いだしては、盛り土をして固めている光景が、インレー湖のあちこちでみることができる。
 この浮島に各種の野菜類を栽培しているわけだが、水分は植物が自ら湖から直接吸い上げるので水をやる必要はない。野外なので自然の太陽光がふりそそぐし、温度調整も必要ないので燃料費もかからないきわめて省エネな「植物工場」というわけなのだ。

 私は農業技術の専門家でもないし、「浮島による水耕栽培」のメカニズムも実際に検証しているわけではないが、きわめてユニークな栽培方法であると思う。まさに長年の知恵のかたまりといえるだろう。

(浮島での水耕栽培)

 浮島であるがゆえに、人々は作物の手入れは舟をあやつって、舟の上から行っている。この風景だけみれば、タイのサムット・サコーンの水上ワイナリー(Floating Winery)みたいだが、インレー湖の場合は、作物は浮島の上で栽培しているのが大きな違いだ。
 ただ、浮島が土地とみなされるかどうかはわからないし、権利関係がどうなっているのかもわからない。おそらく慣習法が支配する世界なのだろうが。
 それにしても、このインダー族の生活慣習というのは実に興味深いものがある。実に環境に適応して生きてきた人々であるのだ。



 そんなことを考えながら、水上レストランで昼食をとった。ミャンマー・ビアに、インレー湖でとれた魚を使ったシャンカオスエ(=シャン州の麺)、そしていうまでもなくトマトサラダ。
 こういう組み合わせもなんだか、という感じがしなくもないが、油ギチギチのカレーだけがミャンマー料理ではないのである。

(ミャンマービアで乾杯!)

 うーん、しかしなんといっても、ミャンマー・ビアがうまい! 昼から飲むビールは最高だ。しかも、ミャンマー・ビアは数々の賞を受賞しただけのものはある。のどごしさわやか、しかもキレがある。いまミャンマー全土でミャンマー・ビアが席巻しているのは理由(わけ)があるのだ。

 インレー湖は、リゾート気分でのんびりと滞在するに限る!


 (インレー湖 ③)につづく



PS 写真を大判にし、あらたにキャプションを加えた。内容には手は入れていない(2015年10月4日 記す)


<関連記事>

・・「浮き畑が、湖を徐々に窒息させつつあると懸念する声が上がっている。肥料や農薬、排水などに含まれる化学物質や腐った浮草なども問題となっている。浮き畑で栽培する作物には、根覆いが必要だ。しかし、そのために使われている水草のホテイアオイが過剰繁茂し、他の植物の光合成を遮って、湖の酸素濃度を低下させてしまう。ミャンマー政府の報告書によると、1992年~2009年にインレー湖の浮き畑面積は6倍に増えた。今も栽培面積は拡大する一方だ。」
⇒ そんな状態になっているとは!


(2024年1月2日 項目新設)



<ブログ内関連記事>

「ミャンマー再遊記」(2009年6月) 総目次

「三度目のミャンマー、三度目の正直」 総目次 および ミャンマー関連の参考文献案内(2010年3月)

書評 『植物工場ビジネス-低コスト型なら個人でもできる-』(池田英男、日本経済新聞出版社、2010)
・・水耕栽培という本質において、インレー湖の農業は植物工場との共通点がある

(2015年10月4日 項目新設)





(2012年7月3日発売の拙著です)










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