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2010年5月28日金曜日

書評 『ジパング再来-大恐慌に一人勝ちする日本-』(三橋貴明、講談社、2009)




非常にまっとうなことが、直球勝負で書かれた本である。

 著者のいうように、間違いなく日本は一人勝ちするだろう。

 ただし、これは積極的な意味ではない。日本は気がついたら「デフレ時代の周回遅れのトップランナー」になっていたということだ。いわば敵失である。欧州が勝手にオウンゴールしたということだ。
 日本以外の先進国、すなわち欧州と米国では、バブル崩壊後と金融危機後、われわれ日本人にとっては既視感(デジャビュー)のある風景が拡がっている。日本だけが、バブル崩壊と金融危機の清算をすでに済ませ、一番問題が少ない状態になっているのだ。それだけである。いや、それほどの違いなのだ。

 日本が国家破綻することはありえない、しかしその見解に慢心してはいけない。あとはいかにフローベースの経済成長を実現するかにかかっている。いわゆる「デフレビジネス」でトップを走る日本、日本企業の活動を側面支援する政府の役割についても徹底的な議論が必要だ。もちろん、個別企業の業績はまた別の話だ。

 本書は、かんで含めるように一歩一歩ロジカルに説明してくれるからよく理解できる。もちろんある程度の前提知識がいるので、最低限の経済学の知識と会計学の知識は欲しいところだ。そうでないと、ちょっと難しく感じるかもしれない。
 三橋貴明氏の単著を読むのは本書が初めてだが、本書で展開される論理は基本的に賛成だ。むしろ、虚心坦懐にデータを見つめ、きわめてオーソドックスな分析を行っている本であるといえる。

 しかしこの本の出版は2009年9月の政権交代前のものだ。その後の政治状況をみると、三橋貴明ならずとも、現政権に異議申し立てを行いたくなるのは当然ではないだろうか・・・
 三橋氏の政治的立場はさておき、本書は読む価値があると推奨しておく。


<初出情報>

■bk1書評「非常にまっとうなことが、直球勝負で書かれた本である。」投稿掲載(2010年5月28日)

*再録にあたって一部加筆した。





<書評への付記>

 著者の三橋貴明(みつはし・たかあき)はペンネーム、1994年に首都大学東京(むかしの都立大)を卒業し、以後IT系企業を数回転職しながら、中小企業診断士として独立(・・これはすごいこと)、現在は公開データをもとにしたマクロ経済関連本はいずれにヒット作となり、一気に著者ブランドとして確立した、新進気鋭の経済書作家である。
 次回の参議院選挙に向けて、自らの経済政策が一致する自民党から出馬するらしい。「三橋氏の政治的立場はさておき」と書評のなかで記したのは、私自身は自民党支持者ではない、無党派層であるからだ。

 この著者のような、正しいことを正しく発言する人をもったことは、いま30歳台以下の人は幸いだ。
 なぜなら、人間というのは――これは日本人に限った話かもしれないが――、どうしても自分より年上の人間のほうが賢いに違いないと、無意識のうちに思い込んでいるふしがなくもないからだ。逆にいうと、年下の人間がいうことを軽くみがちである。

 40歳代以上の世代には、間違ったことを強弁する自称「経済評論家」が多くてたいへん困る。こういう人たちをもてはやすのもまた、40歳代以上のTVや出版の世界のマスコミ人たちだ。まさに。著者が名付けた「マスゴミ」だ。「マスコミ」ではない、濁点づきの「マスゴミ」だ。
 私自身40歳台の人間だが、こういった経済評論家やマスゴミの存在は実に恥ずかしく思う。著者自身はすでに40歳台になっているが、世代的には下の世代の側に立っているといっていいだろう。

 ここ数年、30歳台の起業家たちと接する機会が多く、かれらのものの見方が非常に冷静でかつ正しくものを見ていることが多いことに気がついてきた。バブル時代に甘やかされた40歳台以上の「バブル世代」とは根本的に違うのである。
 厳しい雇用情勢で苦労した30歳台の人たちは、権威に盲従する姿勢とは無縁だ。もちろん40歳台の私からみれば、経験不足から性急な見解を展開する人も少なくないが、組織ではなく個人、あくまでも個人あっての組織という姿勢をもつ30歳台の人は、もちろんすべてではないとはいえ・・・

 「世代論」だけですべてを語るわけにはいかないが、基本的に私は是々非々の態度で30歳台の論客に、大きく耳を傾けていきたいと考えている。

 パラダイムシフトでポストモダン世代が引っ張ってゆく世の中なのである。


<関連サイト>

Wikipedia 三橋貴明

『新世紀のビッグブラザーへ blog』(三橋貴明ブログ)



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書評 『日本文明圏の覚醒』(古田博司、筑摩書房、2010)