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2010年5月31日月曜日

書評『植物工場ビジネス ー 低コスト型なら個人でもできる』(池田英男、日本経済新聞出版社、2010)ー 「植物工場ビジネス」は、自然環境に左右されにくい、サイエンスとしての農業だ!


「植物工場ビジネス」は、自然環境に左右されにくい、サイエンスとしての農業だ!

「野菜作り」は「土作り」からという、日本の農家の常識、いや固定観念を否定し、科学理論に基づいたビジネスとしてのサイエンス農業を提唱する一般向けの実務書である。

世界標準である、「太陽光利用の低コスト植物工場」である。水耕栽培というよりも溶液栽培というのが正確な表現である。

著者の姿勢は「はじめに」に書かれているが、私はこれを読んで、なんだかガツンとやられたような気がした。

もちろん水耕栽培について知らないわけではない。だが、「植物を生育させるという目的から見ると、土はたくさんある培地のひとつである」という記述には、いわれてみれば当たり前なのだが、新鮮なショックを受けたのである。

著者の姿勢は、栽培技術を経験や勘から解放し、データと科学的理論に基づいて行おう、というものである。農業を科学理論に基づいて行う事によって、ビジネスとしての農業をより確実なものとし、自然環境に左右されることの少ない計画生産を可能にする。

著者の池田氏は、農学博士で技術士、長年にわたって大学農学部で蔬菜学(そさいがく)、施設園芸学を講じてきた人である。

とくに、著者が1980年代からフォローしてきた植物工場先進国のオランダの事例は興味深い。「施設栽培が最も進んだオランダでは、養液栽培による施設園芸こそが、環境負荷が最も少なく、持続的で、無農薬栽培に最も近いといわれている。なぜならここでは除草剤や土壌殺菌剤が不要で、天敵昆虫も利用でき、湿度調整をすると病害の発生すらもほとんど問題にならないようにできる」(P.16)

本書は、著者による長年の研究成果をもとにした、個人でもできる「植物工場ビジネス」入門となっている。

施設園芸ビジネスを成功させるコツ、施設園芸の経営、初期投資・ランニングコスト・売上金回収、栽培と管理、収穫から包装・輸送・販売まで、日本における成功事例、と実用的な情報が、科学者らしくきわめてロジカルに説明されており、たいへん役に立つ。

農業をビジネスとして捉えている異業種のビジネスマンだけでなく、これから農業に参入しようと考えている個人にとっても、必携の一冊といえよう。




<初出情報>

■amazon書評「「植物工場ビジネス」は、自然環境に左右されにくい、サイエンスとしての農業だ!」投稿掲載(2010年4月22日)
■bk1書評「「植物工場ビジネス」は、自然環境に左右されにくい、サイエンスとしての農業だ!」投稿掲載(2010年4月22日)


<書評への付記>

日本を否定するのではなく、悪しき固定観念を打破することを意図した本書は、日本農業の変革への第一歩となるであろう。

「変わらないためには、変わらなければならない」という有名なセリフがヴィスコンティ監督の名作映画『山猫』にあるが、日本農業も日本で生き続けるためには、ある種の自己否定を行うことが必要かも知れない。

単なる実務書にはない「思想」を感じ取ったので、それをあえて引き出してみた。

実際に私が植物工場をやるのかと聞かれれば、おそらくやることはないだろう、と答えるしかないが、植物工場の技術は日々進歩している状況にあり、現代人としてその概要を知っていて損はないと思うのである。

とくに、この2010年4月のように、気候変動を実際に体験しているわれわれにとって、植物工場は無縁の栽培技術ではない。


<追記>

2011年3月11日、いわゆる「3-11」の大地震と大津波、そしてフクシマの原発事故は、東北太平洋沿岸地帯の漁業だけでなく、農業も大きく破壊してしまった。

津波による海水が農地にもたらした塩害原発事故によって排出された放射能被害である。いずれも土壌の回復には多大なコストと時間がかかることは報道されているとおりである。

こうした状況のなか、いま「植物工場」が被災地の農地に導入されて、成果を上げつつあるらしい。

これはまさに、本書で強調されている、「植物を生育させるという目的から見ると、土はたくさんある培地のひとつである」という考えが活かされているといえるだろう。

「植物工場」というと、ややもすれば反対派からは農業の工業化といったネガティブな反応を招きがちだが、丹精込めてつくってきた「土」もまた大きな被害にあってしまった以上、背に腹は代えられない。いま被災地の農業者ができることが植物工場であるというのは十分に納得できることである。

「栽培技術を経験や勘から解放し、データと科学的理論に基づいて行おう」という考えだけでなく、被災地復興の一手段として注目されていることに、この分野の専門家ではないわたしも、おおきな感銘を受けている。

「植物工場」が日本で普及する大きな追い風となることであろう。

(2012年1月26日 追記)


(追記2) オランダ農業全般について興味深いレポートがあるので紹介する。

「オランダを合わせ鏡として日本の農業を見る」(農業経営者』編集長 昆吉則、2012年1月27日)


オランダを合わせ鏡として日本の農業を見る 前編

オランダを合わせ鏡として日本の農業を見る 中編

オランダを合わせ鏡として日本の農業を見る 後編

(2012年7月23日 記す)


<関連サイト>

安倍首相も驚いたオランダ植物工場-半世紀の貿易競争で磨いた強さの秘訣 (日経ビジネスオンライン、2014年5月12日)

安い海外農産物の攻勢をチャンスに変えたオランダ  ITとマーケティングが生み出す国際競争力~進化を続ける小さな農業大国 (JBPress、ヴァン・ウィレムスカルティエ・カオル、2014年12月24日)
・・いわゆる「スマート・アグリ」について

オランダで先端農業に挑む日本人がいた! 世界を見て知った日本の強み (日経ビジネスオンライン、2016年2月26日)

(2014年5月12日 項目新設)
(2015年1月31日、2016年2月27日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

玉川大学の 「植物工場研究施設」と「宇宙農場ラボ」を見学させていただいた-一般的な「植物工場」との違いは光源がLEDであること! (2012年1月31日 追加)

三度目のミャンマー、三度目の正直 (3) インレー湖のトマトがうまい理由(わけ)・・屋外天然の水耕栽培なのだ!(インレー湖 ②)



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