「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2010年10月19日火曜日

書評『空港 25時間』(鎌田 慧、講談社文庫、2010 単行本初版 1996)-「現場」で働くナマの人間の声で語られた「仕事」=「人生」




業務マニュアルではなく、「現場」で働くナマの人間の声で語られた「仕事」=「人生」

 「空港」にかかわるさまざまな仕事を、社会派ルポライターの鎌田慧が聞き書きでまとめた一冊。

 機長2人、パーサー2人、カウンター、貨物の搭載、機内クリーニング、整備士、運航管理者、航空管制官、税関の合計11人からの聞き書きが、本人の語りをうまく活かして収録されている。

 最初から通して読み進めてゆくうちに、この人たちがいるからこそ、飛行機が安全に飛ぶという「当たり前のことが当たり前に」なっていることに、あらためて気がつかされるのである。テレビドラマには出てこない仕事にも十分に目配りしている。

 面白いのは、「空港」にかかわる仕事は航空会社の従業員だけでなく、国家公務員も含まれていることだ。財務省関税局の下部機関に属する税関職員、そして国土交通省に属する航空管制官。この人たちを欠いては、「空港」にかかわる仕事を描いたことにならないのである。

 初版の単行本が出版されたのは1996年、文庫版では現在の仕事内容に合わせて加筆訂正したらしい。取材対象となった航空会社は、どうやら日本航空(JAL)のようだ。仕事内容は14年前も現在も、基本的に変わっていないだろうが、14年前の時点でベテランとなっていた人たちの聞き書きであり、仕事への取り組み姿勢や人生観なども現在とはやや少し距離があるのかもしれないな、という感じももった。

 しかしそうはいっても、それぞれの「現場」で長年仕事をしてきた人たちの話である。「現場」の仕事のディテール、「現場」ならではの独自の視点からでてきたキラリと光る発言、航空自衛隊や米軍もかかわる日本の空をめぐる現状についての何気ない発言など、読んでいて非常に興味深いものがある。 

 私はこの本を、海外渡航のお供として持参し、機内で読みふけったが、もちろん地上で読んでも内容は十分に面白いはずだ。読みながら、いろいろ想像力を働かせてみるのは楽しいシミュレーション体験になるだろう。

 どんな仕事であれ、それぞれの「現場」がある。仕事内容はそれぞれ詳細なマニュアルがあるのだろうが、業務マニュアルではなく、「現場」で働くナマの人間の声で語られた本書は、「仕事」とは何かについて語った「人生」についての本でもある。

 本書は仕事人の苦労と誇り、こういったさまざま側面が語られた味わい深い本である。


<初出情報>

■bk1書評「業務マニュアルではなく、「現場」で働くナマの人間の声で語られた「仕事」=「人生」」投稿掲載(2010年03月22日)





目 次

機長A-9時間の退屈、1秒の恐怖
パーサーA-お客様をハッピーにさせる空飛ぶ職人です
カウンター-「できません」でなく「やってみます」の精神で
貨物の搭載-積み方ひとつにもコツがあります
機内クリーニング-1機当たり20分の勝負
整備士-指先と五感がものをいう
運航管理者-地上からの支援、うまくいって当たり前
機長B-パイロットに求められる体力と柔らかい頭
パーサーB-キャビン・アテンダントにもっとも大切なスマイルと気配り
航空管制官-2分に1機の過密ダイヤをさばく
税関-この仕事、非情一本槍ではダメなのです


著者プロフィール

鎌田 慧(かまた・さとし)

1938年青森県生まれ。早稲田大学文学部卒業。新聞、雑誌記者を経て、フリーとなる。開発・公害・教育・労働など、社会問題を追及する社会派ルポライターの第一人者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<ブログ内関連記事>

JALの「法的整理」について考えるために

『JAL崩壊-ある客室乗務員の告白-』(日本航空・グループ2010、文春新書、2010) は、「失敗学」の観点から「反面教師」として読むべき内容の本

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる
・・ルポルタージュ作家の鎌田慧は、おそらく稲盛和夫は好きではないだろうが、しかし再建は実現された

鎮魂!「日航機墜落事故」から26年 (2011年8月12日)-関連本三冊であらためて振り返る



(2022年12月23日発売の拙著です)

(2022年6月24日発売の拙著です)

(2021年11月19日発売の拙著です)


(2021年10月22日発売の拙著です)

 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)

(2012年7月3日発売の拙著です)


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end