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2011年1月29日土曜日

「ミラーの法則」-管理限界についての「マジック・ナンバー7」


いまから25年くらいむかしのことだ。人事管理関係の仕事からキャリアをはじめた私は、その当時の上司から教えてもらった話で、非常に強く記憶に刻まれた話がある。

「1人の人間が管理できる上限は7人」、というものだ。

この話は、マネージャーとして部下の管理にたずさわわったことのある人は一度は聞いたことがあるはずだろう。そのとき「スパン・オブ・コントロール」という表現も耳にしていると思う。英語で書けば span of control となる。

根拠がなにかわからないが、いかにも当てはまりそうな話として聞かされたことのある人は多いのではないかと思う。

数字の 7といえば、1週間は7日だし、ラッキー7 という表現もある。たしかに 7人くらいまでなら、とくに管理しなくても把握できそうな人数だな、と。

実は、この話には根拠がある。この話の根拠は「ミラーの法則」という。

ビジネスの世界では「何々の法則」というのはたくさんあって、たとえば「ピーターの法則」や「パーキンソンの法則」、ビジネス以外の世界でもよく知られた「マーフィーの法則」などがあるが、「ミラーの法則」は、認知心理学の法則だ。


「ミラーの法則」と「マジカルナンバー 7」

「ミラーの法則」は「マジカルナンバー 7」といいかえてもいいだろう。

「ミラーの法則」といっても、鏡のミラーではない。ファミリー・ネームのミラー(Miller)だ。この法則を発見した米国の心理学者ジョージ・ミラー(George Armitage Miller)にちなむものである。

ジョージ・ミラーは wikipedia の記述によれば以下のような略歴である。

ジョージ・ミラー(George Armitage Miller 1920年 - )は、アメリカ合衆国の心理学者。プリンストン大学教授。ロックフェラー大学、マサチューセッツ工科大学、ハーヴァード大学の教授だったこともあり、オックスフォード大学ではフェローとして研究し、アメリカ心理学会の会長だったこともあった。
短期記憶の容量が7±2であることを発見した。この研究は認知心理学の先駆けとなった。ユージン・ギャランター、カール・プリブラムとの共著「プランと行動の構造」は認知心理学の誕生を告げるマニフェストとも言われる。
また、概念辞書の先駆けであるWordNetプロジェクトを主導したことによって、言語学、計算言語学、自然言語処理、オントロジーなどの分野でも著名である。
1991年には、アメリカ国家科学賞を授与している。

さらに「マジカルナンバー7」については次のように説明されている。

「マジカルナンバー7±2」という論文の中で、一度聞いただけで直後に再生するような場合、日常的なことを対象にする限り記憶容量は 7個前後になるということを示した。この7個というのは情報量ではなく意味を持った「かたまり(チャンク)」の数のことで、数字のような情報量的に小さなものも、人の名前のように情報量的に大きな物も同じ程度、7個(個人差により+-2)しか覚えられないということを発表した。

脳科学の立場からは、たとえば、『記憶力を強くする-最新脳科学が語る記憶の仕組みと鍛え方-』(池谷裕二、講談社ブルーバックス、2001)という本では、「短期記憶」には個人差はないことが説明されている。曜日は七つ、ドレミの音階は7つ、であるように、人間のワーキングメモリー限界は7桁、であると。


古代以来、人間が「7」という数字を神聖視してきたのは・・

『数の神秘』(フランツ・カール・エンドレス、アンネマリー・シンメル編、畔上司訳、現代出版、1986)という本では、「数字の 7」は「知恵の数」とされている。

7は古来、人間を魅了し続けてきた。7は創造の三原則(=能動的意識、受動的無意識、その両者があいまって作用する秩序力)と、元素から構成される物質・感性力の4つ(=知性に相当する空気、意思に相当する火、
感情に相当する水、道徳に相当する地の和である。このように7を精神界の3と物質界の4に分解する方法は、ほかにいくつかの解釈があるが、これが中世大学の自由7科を3科と4科に分ける基礎となったことは間違いない・・・(後略)・・(P.108)

7は古代中国でも、古代バビロンでも、古代ユダヤ教でも、古代ギリシアでも、イスラーム世界でも、いずれも古代以来きわめて重要な意味をもつ数字であった。

これも、人間の認知限界が 7 であることと関係があることは間違いないだろう。そうでなければ 1週間が7日である理由も音階が7つである理由もわからない。7を聖数として特別扱いする理由は後付けのものと考えるのが自然である。


50人程度の組織が管理しやすい理由(わけ)

「ミラーの法則」を人的マネジメントに応用すれば限界は平均7人。±2のレンジがあるから、ミニマムが 5人、マックスが 9人となる。したがって、5人から 9人あたりが管理しやすい幅になる。これは管理する側、管理される側の状況によって左右される。

バラバラに散らばっていても、アタマのなかで把握し、とくに管理システムがなくても情報処理できる範囲内だというわけだ。

一人あたりの管理限界が平均 7人であるとすると、その管理下にある一人一人がさらに「7±2」の部下を抱えているとすると、7×7=49、これが平均値となる。7の二乗である。ほぼ 50人となる。±2のレンジがあるから、ミニマムは 5 の二乗の 25人、マックスは 9 の二乗の 81人 となる。

50人をすべて一人で管理するのはたいへんだが、一階層入れるとそれほど苦労することなく管理できることがこれで理解できるだろう。

実際、 50人程度は「目の届く範囲」である。物理的なスペースを共有していれば問題ないが、もちろんその場合に、一階層入るとトップに立つものの管理はラクになる。

あいだに入るのが二階層になると 7 の 3乗で 343、3階層入ると 7 の 4乗で 2,401 になる。理論的にはこのように、7 のn乗で組織を拡大することは可能だ。

伝達スピードはメールで同時一斉通報すれば差はでてこないが、階層が増えれば増えるほど、口頭での情報伝達の正確性が減少していく。文字化されるのは形式知だけなので、言外のニュアンスが伝わりにくい。これは上から下へのコミュニケーション、下から上へのコミュニケーションに共通している。

こう考えると、7 の二乗である 49人、すなわち50人前後が、管理しやすい目安となるといっていいのだろう。

50人前後というのは、実感としても妥当な数字ではないだろうか。



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