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2011年5月1日日曜日

5月1日は メーデー(May Day)


 本日5月1日はメーデーだ。勤労者の日である。

 今年(2011年)は、たまたま日曜日にあたっているので休日になっているが、なぜか日本では現在にいたるまで祝日になっていない。

 5月1日は、レイバーデー(Labor Day)ともいい、祝日にしている国は多い。世界のカレンダーから抜き出してみよう。

●労働節:中国、香港
●メーデー:フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ドイツ、フランス、ベルギー
●春と労働の祝日:ロシア
●レーバーデー:オーストラリア(NT)
●メーデー:オーストラリア(QLD)、アイルランド
●アーリー・メイ・バンクホリデー:英国


メーデーがインデックス(索引)となって思い出した「エピソード記憶」

 メーデーというと、大学を卒業して就職した年のことを思い出す。いまから26年前(!)の1985年のことだ。まだ「昭和時代」であった。

 4月の 1ヶ月研修が終わったあと、配属が決まったのだが、上司となった人から呼ばれて、5月1日から出張にいくから用意をしておくようにと、いきなり申し渡されたのであった。週末に銀座でカバンを買って、出張に備えたことを思い出した。

 配属初日がいきなり出張、出張先は山梨県の甲府。新宿駅から特急あずさ号にて甲府へ。

 訪問先の会社でミーティングに同席したのだが、そのとき窓の外から聞こえてきたのがメーデーの労働歌であった。なにやら違和感を感じながら聞いていたことを思い出す。

 こんなことスッカリ忘れていたのだが、エピソード記憶というのは面白いことに、「メーデー」がインデックスとなって、底に沈んでいた記憶が引っ張り出されてくる。けっして忘れたわけではない、再生してなかっただけなのだ。

 当時の上司の上司、すなわち部長は銀行から出向してきていた人なのに、毎年この日には家族を連れて「赤旗祭」(!?)に行くといっていた。資本主義の牙城であるはずの銀行で「赤旗」とは!! 

 当時はきわめて強い違和感を感じたのだが、まだソ連も健在で、社会主義の余韻がまだ世の中に存在していた時代である。作家の島田雅彦が、左翼のことをサヨクと書いて話題になってから、まだそれほど時間がたっていなかった頃が時代背景だ。

 1991年にソ連が崩壊して冷戦構造が終わってから今年で既に20年、いまではまったく何のことか想像もつかないかもしれない。


メーデーの起源はメイフェア(五月祭)??
 
 メーデーは、ほんとうはメイデイと書いた方が発音に近い。May Day は最初の子音の違いだけで完全に韻を踏んでいる。音の響きからいったら heyday(真っ盛り)というコトバも連想する。

 もともとは、ヨーロッパでは伝統的に、この日に春の訪れを祝う「五月祭」が行われてきた。「メーデー」とは元来は五月祭を開く日であったのである。リスト教以前から存在していた「五月祭」がベースにあるようだ。Wikipedia の記述を引用しておこう。東大の「五月祭」ではないので念のため(笑)。

 五月祭(ごがつさい)とは、古代ローマの祭に由来する。5月1日に、豊穣の女神マイアを祭り供物が捧げられた。夏の豊穣を予祝する祭りと考えられている。現在では、ヨーロッパ各地で、キリスト教伝来以前にさかのぼる起源をもつ、春の訪れを祝う日として定着している。英語では Mayfair, Mayday などと呼ぶ。
 この日は、メイポール(字義通りには「五月の柱」)とよばれる柱を立て、リボンや緑の枝などでかざり、その周りで人々が踊る。また未婚の女性からメイクイーンを選ぶなどの遊びをする。

 メイクイーン(May Queen)というと、日本では男爵とならんで有名なジャガイモの品種を思い出すが、実際にここに由来があるようだ。

 メイポール(May Pole)は、宗教学でいう世界樹(axis mundi)のこと。神がそこを伝わって降りてくる依り代(よりしろ)のことだろう。

 メーデーの前日(4月30日)からメーデーにかけての夜は、「ヴァルプルギスの夜」とよ前夜祭がおこなわれるとのこと。ワグナーのオペラにもでてくる「ヴァルプルギスの夜」、遠くケルトにも遡ることのできるこの祭は、不思議なことに、日本人にはさほど違和感を感じさせないものがある。

 キリスト教徒ではないののであれば、それを「異教的」というのは正しい表現ではない。

 さて、この「五月祭」と労働者の祭典である「メーデー」とは関係があるのか、ないのか?

 「メーデー」の起源は、wikipedia の記述によれば、「労働者の日としてのメーデーは、1886年5月1日に合衆国カナダ職能労働組合連盟(後のアメリカ労働総同盟、AFL)が、シカゴを中心に8時間労働制要求(8-hour day movement)の統一ストライキを行ったのが起源」だそうだ。

 米国の秋の収穫感謝祭(Thanksgiving Day)を起源にもつ「勤労感謝の日」(11月23日)が日本でも祝日になったのに、春の種まき時期にあたる 5月1日の「メーデー」が祝日になっていないという事実。

 「勤労感謝の日」という奇妙な休日は、アメリカ占領軍が日本に押しつけたものだ。新憲法発布前は、5月3日は祝日ではなかったから、5月1日が祝日にならなかったのは不思議だ。

 講和条約成立後に「血のメーデー事件」(1952年)などが発生しているが、過激な労働運動が拡大することを占領軍が怖れていたからだろうか?

 ところで、わたしは、仕事でタイ王国のバンコクにいた頃、メーデーが祝日で休みになるということから、なぜ日本では祝日にならないのかという疑問を持ちだした。

 タイ王国の4月は、他の上座仏教国と同様、4月のなかばにソンクラーンという新年をむかえる暑い季節なので、4月はそうでなくても、あまり勤労意欲のわかない一ヶ月である。それなのにまた5月1日が祝日で休みかよ!? と思ったのであった。

 これはタイ王国での話であるが、人を使う側の立場と、使われれる立場の違いといえば、そのとおりなのだが・・・。





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P.S. メーデー(May-day)とメイポールについては、英国の人類学者ジェイムズ・フレーザーの『金枝篇』(The Golden Bough)に記述がある。

It would be needless to illustrate at length the custom, which has prevailed in various parts of Europe, such as England, France, and Germany, of setting up a village May-tree or May-pole on May Day.  (出典: http://www.bartleby.com/196/pages/page123.html )

イングランドやフランス、ドイツにおいては、メイデイ(5月1日)にメイツリーあるいはメイポールを立てる慣習がさまざま場所に存在した。もともと先住民のケルト人の慣習であったようだ。

現地でフィールドワークを行わなかったフレーザーは、「アームチェア・アンストポロジスト」(安楽椅子の人類学者)として、現在は専門家からはあまり顧みられないようだが、宣教師や外交官など現地駐在者から集めた膨大な情報をもとに分類研究した成果である『金枝篇』は、英文学にも大きな影響を与えたといわれている。

日本でも民俗学の柳田國男や折口信夫に大きな影響を与えている。折口信夫が英語原文から行った日本語訳は、そのいくつかが全集にも収録されている。折口信夫は「ふれいざあ教授のごうるでん・ばう」と独特の表記法で言及している。

『金枝篇』は抄訳版が岩波文庫やちくま学芸文庫からでているので、ぜひ一度は読んでいただきたいと思う。じつに面白い読み物である。







(2013年5月1日 追記)

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(2012年7月3日発売の拙著です)




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