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2014年3月27日木曜日

『国際シンポジウム 混迷続くタイ政治:その先に何が待っているのか』("Thailand’s Turbulent Politics: Peering Ahead")に参加(2014年3月27日)


本日(2014年3月27日)、政策研究大学院大学(GRIPS)で開催された国際シンポジウム 『混迷続くタイ政治:その先に何が待っているのか』(International Symposium on "Thailand’s Turbulent Politics: Peering Ahead"に聴講者として参加してきた。

昨年(2013年)11月から続いているバンコクの混迷状況は「バンコク・シャットダウン」なる状態も招き、ことし(2014年)2月にピークを迎えて以降は減退傾向に向かっているものの、いまだに終息しているわけではない。その意味ではまさに旬のテーマである。

概要は以下のとおり。GRIPSのサイトに掲載されている日本文と英文を再編集して掲載しておこう。

International Symposium on "Thailand’s Turbulent Politics: Peering Ahead"
.講演者: パスック・ポンパイチット博士、クリス・ベイカー博士(GRIPS客員教授)
日時: 2014年3月27日(木)14:00~17:00 
場所: 政策研究大学院大学 1階 想海樓ホール
参加費: 無料(事前登録制)
言語: 英語(日英同時通訳付き)
コメンテーター: 原洋之介(GRIPS特別教授)、 Prof. Richard F. Doner (Emory Uni.(US))、 相沢伸広(IDE-JETRO研究員)

概要(Abstract) 
経済成長とグローバル化の進展により、タイ社会はここ数十年変化し続けている。タイの政治システムは、既得権益を持つ旧勢力と変化に依って台頭してきた新勢力との間での衝突を伴いながら、この社会の変化に適応しようとしている。この適応プロセスは不穏なものとなっているが、こういった状態はよく見られることである。(Thailand has been transformed over recent decades by economic growth and globalization. The political system is now adjusting to these social changes with conflicts between forces old and new. The process is turbulent, but it is not unusual. )
本講演は2013年末に始まった抗議行動の現状を詳細に検討し、その先に何が待っているのかを考えてみることを目的とする。いまある対立の解消は、さらなる社会の変化と、経済成長と地域、そして世界の中で果たすべき役割に対して、タイがより深く関わっていくことによってなされるであろうことを示したい。(This lecture looks in detail at the recent phase of protest, which began in late 2013, then peers into the future. The resolution of the current conflict will be shaped by new social changes and by Thailand’s fundamental commitment to economic growth and a role in the region and the world.)


GRIPSとは、National Graduate Institute For Policy Studies の略、日本語では政策研究大学院という大学院大学である。東京の六本木にある。

タイ人のパスック博士と英国人のベーカー博士については2年前に開催された、「GRIPS・JBIC Joint Forum"After Fire and Flood: Thailand's Prospects"」と題したタイの政治経済にかんする公開セミナー(2012年2月2日) でややくわしく書いておいたのでご参照いただきたい。英語圏ではもっとも著名なタイ研究家の夫妻である。英語放送の NHK World にも登場している。


パスック博士とベーカー博士によるレクチャー

パスック博士とベーカー博士によるレクチャーが約1時間、コメンテーターが一人約15~20分、その後は会場との質疑応答だが、わたしは所要のため会場からの質疑応答はオミットした。

(レクチャー中のパスック博士とベーカー博士)

パスック博士とベーカー博士によるレクチャーは4部構成である。英語で行われたレクチャーとプレゼン資料をもとに、私見をまじえながら簡単にまとめておこう。

フェーズ1. 大変化
フェーズ2. 2013年11月以降の最新状況
フェーズ3. 都市中間層(urban middle class)の役割
フェーズ4. 今後の展望

1992年以降のタイの経済成長と民主主義発展の経緯を簡単に振り返りながら、タクシン首相というタイにおいては特異な政治家出現の意味を考え、タクシン氏による北部と東北部の農民をエンパワーしたこと、2006年クーデターによるタクシン氏追放について触れる。ここまがフェーズ1である。

フェーズ1での「大変化」は、1951年から2013年までの60年でタイのGDPが3倍(!)に拡大し、国内の人口移動が活発となり、脱農村化(de-ruralization)が進み、新しい価値観や消費傾向が出現してきたことと要約されている。

フェーズ2の「2013年11月以降の最新状況」とは、現在はドバイを拠点に活動する兄タクシンの帰国を主目的にした「恩赦法」改正動議をきっかけに昨年2013年11月から政治的対立が再燃、「バンコク封鎖」(Bangkok Shutdown)を主張する黄色派によるデモ対策のため、バンコクとその周辺に「非常事態宣言」(State of emergency)がだされていたことである。

「非常事態宣言」は先日解除されたが、憲法裁判所によって2014年2月に実施された総選挙が無効になるなど、状況が好転する見通しは現在のところ見えてこない。

現在のインラック政権(・・議会が解散されたままの状態なので、タクシン元首相の妹であるインラック氏は暫定首相)が導入した一連のポピュリスト政策のなかでも「コメ買い取り政策」(rice subsidy schme)と「インフラ投資計画」(infrastructure investment)は国家財政圧迫の原因となっているだけでなく、バンコクの都市中間層を中心としたタックスペイヤー(納税者)からの反発を生み、しかも「コメ買い取り政策」で支払いを受けていない農民からの反発も生んでいる。経済の側面からみると政治的対立はこのように要約できる。

パスック博士とベーカー博士のレクチャーでもっとも重要だとわたしが思ったのは、フェーズ3の「都市中産階級(urban middle class)の役割」についてのものだ。

首都バンコクの都市中産階級は基本的にホワイトカラーであり、タックスペイヤー(納税者)としての怒りが今回の政治的対立の原因となっている。自分が払った税金が自分には関係ない地方の農民のために使われていることへの反発である。その意味では今回の政治的対立は典型的な Tax Revolt である。

だが、人口比からみるとバンコクの中間層(全人口の1/5)は農民(全人口の半分)よりはるかに少ないため、「一人一票」制度のもとにおいては、民主的に政治姿勢を示すことができないうという焦燥感があるわけだ。

しかも、バンコクの都市中間層(アーバン・ミドルクラス)は華人系が中心である。バンコクというのは、そもそもそういう都市なのである。

華僑華人が「同化」され、国民として統合された成功例として語られるタイではあるが、20年くらい前までは華人系市民への偏見が存在したこと、華人系タイ人においてはタイ国民意識と同時に華人意識がタイ以外の華人世界にも目を向けさせていることなどに注意を払う必要がある。言い換えれば、自分たち華人系タイ人は、教育レベルや意識レベルの面で、北部や東北部の農民とは違うのだという潜在意識が存在し、それが顕在化することもあるということだ。

ここでキーワードになるのが、「アイデンティティ政治」(identity politics)である。この政治学タームを使用すると問題構造が「見える化」される。

「アイデンティティ政治」とは、「社会的不公正の犠牲になっているジェンダー、人種、民族、性的指向、障害などの特定のアイデンティティに基づく集団の利益を代弁して行う政治活動」(wikipedia日本語版の説明)だが、バンコクの都市中間層もまた、自分たちのことを「社会的不公正の犠牲者」とみなしていると解釈できる。こう考えると理解しやすい。

今回の政治的対立にかんしては国軍は静観を決め込み、いっさいの介入を行わなかったことは特筆に値する。もっぱら警察によるマイルドな群衆コントロール手段に終始した。王室を頂点にした旧支配層と陸軍がタイ政治におけるエスタブリッシュメントであるが、今回の政治的対立を新旧勢力の対立とみ考えると本質を見逃してしまう恐れがありそうだ。

今回の政治的対立が下火になってきたのは、都市中間層がホワイトカラーであるという、まさにその点に求められる。都市中間層が政治的混乱の長期化と過激化と暴力化に賛成でないのは、かれらが「運動家」ではなく「生活人」としての側面が大きいからだ。

フェーズ4では「今後の展望」について考察されていた。短期的には政治改革や財政支出制度改革がそう簡単には実現しないので混乱はつづくだろうが、長期的には見通しは楽観的だというのが、パスック博士とベーカー博士の見解である。

タクシン元首相は近い将来はもちろん、もしかすると永久に帰国できないかもしれない。今回の騒動の引き金となったのは「恩赦法」(Amnesty Act)の議会へ提出であったが、この状況において再提出可能だと考えるのは現実的ではない。

インラック退陣後にはタクシン派にはこれといった後継者がいないので、タクシン派は退潮していくことが考えられる。赤シャツ組のなかには、すでにタクシン派離れを始めている分派もあり、けっして一枚岩ではない。王位継承も時間の問題あり、政治状況には変化がでてくることは間違いないからだ。

今後は、さらに脱農村化が進行するとともに、2015年からはじまるAEC(アセアン経済共同体)のインパクトのもと、北部や東北部の経済成長は加速、脱中央集権化と地方分権は政治対立解消のためにも進展していくだろう。

以上が、パスック博士とベーカー博士の見解である。


コメンテーターからのコメント

パスック博士とベーカー博士は基本的に楽観的な見通しを語っていたが、コメンテーターからはさまざまな見解が示されていたので、わたしなりにかいつまんで紹介しておく。

アジア経済研究所の相沢伸広 研究員は、タイの政治対立を広いパースペクティブにおいて考えると、「アラブの春」のような民主化革命的な要素があるものの、今回はタイ国軍は完全に局外中立を保っており、過去の状況とは異なるだけでなく、エジプトのような暴力的な方向に向っていないこと、インドシナ半島の地政学(geopolitics)的状況が中近東とは異なることが指摘されていた。

Prof. Richard F. Doner (Emory University)は、タイ社会が基本的に fragmented であることを指摘、労働運動が政治勢力として一つの流れにまとまらないこと、タイ経済に大きな存在感をもつ多国籍企業が政治的なプレーヤーとなろうとはしないことについて語られていた。

おそらくこの指摘は、タイには現在でもサービス業においては49%ルールという出資規制が存在するため、多国籍企業がタイの民族資本(・・実態は華人系財閥資本)との合弁を組まなければならないことが背景にあることを指しているのだろう。資金提供という形で関与している華人系財閥の政治行動とは別に考える必要はある。

原洋之介 GRIPS特別教授は、現在のタイの政治状況は、日本の1920年代~1930年代と比較すると興味深いことを指摘していた。

第一次世界大戦後の日本はGDPが3倍になり、1925年には普通選挙法により男子に限定されていたものの「一人一票」が実現したこと、「大正デモクラシー」とその後の昭和恐慌におけるテロやクーデターの時代となったことは日本人には周知の事実であろう。

さらにつけくわえれば、戦前の大日本帝国には、現在のタイ王国と同様に「不敬罪」(lese majeste)が存在したことをあげておくべきだろう。日本国憲法では廃止された「枢密院」(Privy)や「勅令」(royal decree)が存在するのがタイ王国である。


タイは「国民国家」として「先進国」になれるか?

以上、パスック博士とベーカー博士によるレクチャーとコメンテーターの発言をわたしなりに要約しておいたが、楽観的という見解とやや悲観的であるという見解もあり、タイの政治状況の先行きについては、そう簡単に予想しがたいというになる。

民主化の進展にともなう社会変化と政治対立はタイに限定されるものではないとはいえ、安易なアナロジー(類推)は危険である。なによりもタイ固有の事情は、地理的条件や歴史的背景も含めて他国とは異なるものがあるからだ。

たしかにタイと日本はアジアでは植民地にならなかったという点は共通しているが、半島と島国という地政学的にはまったく異なる性格をもち、近代化のスピードも成熟度も大きく異なる。民主主義という政治制度についてのみ見れば1920年代~1930年代の日本と似ているが、「発展段階説的」な思考方法はミスリーディングとなることも多い。

パスック博士とベーカー博士の言うことも理解できるが、わたしは個人的には、中進国のワナ(middle income trap)に捉われたタイは先進国にはなれずに終わるだろうと見ている。以下、私見を述べてみたい。

実際問題、アジアで「近代化」をほぼ完成しているのは日本とシンガポールだけであり、東南アジアでは「都市国家」のシンガポールだけだといっても言い過ぎではない。

日本が明治維新から「近代」の完成まで約100年かかったのに対し、シンガポールが短期間に近代化したのは、徹底的な「英語化」と徹底的な「規律化」であったといえよう。

シンガポールは大英帝国による植民地化によって「アングロサクソン化」されただけではない。しかも、マレーシアから分離独立することによって華人をマジョリティとする体制が確立したため、「分割して統治せよ」(divide and rule)という「大英帝国の負の遺産」からまぬがれている。したがって、華人系市民の所得格差問題は発生しても、マレーシアのようなエスニック・コンフリクトという民族間対立は発生しにくい。

東南アジアのなかでは「国民形成」に成功し、産業化に不可欠なナショナリズムが成立しているタイであるが、国民形成はいまだ途上であり、北部や東北部がかつてランナー王国であったことが示しているように、実質的には多民族国家であることは否定できない。現在は国民国家としての「ゆらぎ」すら見られる状況である。

極端な話、シンガポールのように社会システム全体を「西欧化」しない限り、タイの「近代化」は中途半端なまま終わってしまうだろう。

「西欧近代化」されているのはメガシティである首都バンコクだけである。日系企業も含めた多国籍企業に勤務するバンコクの都市中間層である華人系タイ人は、白石隆氏の表現をつかえば「アングロ・チャイニーズ」といってよい。彼らはタイ語と英語を使用する人たちである。華人であっても漢字の読み書きができない者も多い。

大都市バンコクとそれ以外の地方は、所得格差といった解消可能な経済的格差だけではなく、歴史に根差す根本的な違いが厳然として存在するのである。社会集団がいずれも fragmented である点がシンガポールとは大きく異なる。

ビジネスの観点で見れば、バンコクはシンガポールと同等になり得ても「国民国家」の首都であるバンコクがシンガポールのような「都市国家」として独立することは政治的に不可能である以上、タイ全体が先進国となることは考えにくい。「近代化」もバンコクを超えてタイ全土に波及することも考えにくい。

「資本主義化」が「近代化」とはイコールではないことは、中国をみればあきらかなことだ。タイは資本主義経済に巻き込まれて久しいが、近代化は貫徹せず、中進国のワナから脱出できないまま今後も推移すると考えるのが現実的だろう。

ただし、英語中心のシンガポールが理想だと言うつもりはわたしにはない。「近代化」を完遂するために、言語文化を断ち切ってしまったシンガポールからクリエイティブなものが生まれる素地はないからだ。その意味では、固有文化をもつタイは、たとえ「近代化」は未完に終わっても、「近代後」には可能性はあるといえよう。

わたしは以上のように考えている。



PS その後の状況

2014年4月2日、タイの憲法裁判所は2月2日の総選挙を「違法」とする判決を下した。5月9日には国家安全保障事務局長の人事について違憲判決を下し、インラック首相と9閣僚が失職した。そして、5月20日、タイ国軍司令官は「戒厳令」(martial law)を布告し、ついに軍が動き出した。だが、現状のところ、「クーデタなき戒厳令」というグレーゾーンでの対応である。対外的なイメージダウンを避けるための苦肉の策と見られるが、はたして国家を二分する現状を解消することは可能か、きわめて疑問だ。タイの政治的混乱は終わることなく続いている。(2014年5月21日 記す) 

この「追記」を書いた翌日、国軍はクーデターに踏み切った。この件については、タイで8年ぶりにクーデター(2014年5月22日)-今後の推移を考えるには、まずは前回2006年の「9.19クーデター」のおさらいから始めるのが第一歩だ という記事にまとめておいた。(2014年5月23日 記す)



<関連サイト>

国際シンポジウム 混迷続くタイ政治:その先に何が待っているのか (JBIC公式サイト 日本語)

International Symposium on "Thailand’s Turbulent Politics: Peering Ahead" (Date:2014/3/27) (GRIPS公式サイト 英語)






クリス・ベーカー博士 タイの書斎にて NHK World  2014年1月31日



(クリス・ベーカー博士 タイの書斎にて NHK World  2014年1月31日)


タイの「憲法裁判所」は誰を守っているのか? (樋泉克夫、フォーサイト、2014年3月31日)
・・「2005年末以来のタクシン派対反タクシン派の終わりなき不毛ともいえる戦いを振り返ってみても、ABCM複合体が振り下ろした“伝家の宝刀”がタクシン派の息の根を止めるとは、到底思えない。であればこそ、タイ政治の混乱が短時日のうちに収束する可能性は限りなく低いと見るべきだ。とはいえ、「anything is possible」であることも、決して忘れてはならないだろう」



<講演者プロフィール>

パースック・ポンパイチット (1946~) (Wikipedia 日本語版 略歴)
Chris Baker (writer) (1948~) (Wikipedia 英語版 略歴)







<ブログ内関連記事>

「GRIPS・JBIC Joint Forum"After Fire and Flood: Thailand's Prospects"」と題したタイの政治経済にかんする公開セミナーに参加してきた(2012年2月2日)

「第76回 GRIPSフォーラム」でタイの政治家スリン博士の話を聞いてきた(2013年4月15日)-前ASEAN事務総長による「日本待望論」

「第67回 GRIPSフォーラム」で、タイ前首相アピシット氏の話を聞いてきた(2012年7月2日)


タイの政治経済

書評 『タイ-中進国の模索-』(末廣 昭、岩波新書、2009)
・・タクシン政権誕生以後の現在のタイをしるうえでの必読書

書評 『消費するアジア-新興国市場の可能性と不安-』(大泉啓一郎、中公新書、2011)-「新興国」を消費市場としてみる際には、国全体ではなく「メガ都市」と「メガリージョン」単位で見よ!
・・グローバル経済状況下における「メガ都市」とその「周辺」との不均衡発展という問題について考えるための好著。都市はすくなくとも表層的には「近代化」しているが、周辺農業地帯はいまだ「近代化」の緒に就いたばかり

書評 『村から工場へ-東南アジア女性の近代化経験-』(平井京之介、NTT出版、2011)-タイ北部の工業団地でのフィールドワークの記録が面白い
・・タイ農村部では「近代化」はようやく始まったばかり

書評 『中国は東アジアをどう変えるか-21世紀の新地域システム-』 (白石 隆 / ハウ・カロライン、中公新書、2012)-「アングロ・チャイニーズ」がスタンダードとなりつつあるという認識に注目!
・・バンコクの都市中間層は華人系が中心。日系企業も含めた多国籍企業に勤務する彼らは「アングロ・チャイニーズ」化している

⇒ なお、東南アジアにおける「都市中間層」については、白石隆氏とパスック博士の共編著による The rise of middle classes in Southeast (Kyoto area studies on Asia) , Kyoto University Press, 2008 がタイも含めて東南アジア全体について概観するうえでひじょうに参考になる。


合掌ポーズの「ワイ」はクセになる-タイのあれこれ(番外編)

『Sufficiency Economy: A New Philosophy in the Global World』(足を知る経済)は資本主義のオルタナティブか?-資本主義のオルタナティブ (2)・・プミポン国王が説いておられる「足るを知る経済」哲学

書評 『国家債務危機-ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?-』(ジャック・アタリ、林昌宏訳、作品社、2011)-公的債務問題による欧州金融危機は対岸の火事ではない!

「タイ・フェスティバル2010」 が開催された東京 と「封鎖エリア」で市街戦がつづく騒乱のバンコク(2010年5月27日)

「バンコク騒乱」について-アジアビジネスにおける「クライシス・マネジメント」(危機管理)の重要性

「バンコク騒乱」から1周年(2011年5月19日)-書評 『イサーン-目撃したバンコク解放区-』(三留理男、毎日新聞社、2010) 

来日中のタクシン元首相の講演会(2011年8月23日)に参加してきた


他国の政治状況

書評 『エジプト革命-軍とムスリム同胞団、そして若者たち-』(鈴木恵美、中公新書、2013)-「革命」から3年、その意味を内在的に理解するために

書評 『自由市場の終焉-国家資本主義とどう闘うか-』(イアン・ブレマー、有賀裕子訳、日本経済新聞出版社、2011)-権威主義政治体制維持のため市場を利用する国家資本主義の実態


日本の1920年代・1930年代

書評 『成金炎上-昭和恐慌は警告する-』(山岡 淳一郎、日経BP社、2009)-1920年代の政治経済史を「同時代史」として体感する

書評 『震災復興の先に待ちうけているもの-平成・大正の大震災と政治家の暴走-』(山岡 淳一郎、2012)-東日本大震災後の日本が「いつか来た道」をたどることのないことを願う

書評 『国の死に方』(片山杜秀、新潮新書、2012)-「非常事態に弱い国」日本を関東大震災とその後に重ね合わせながら考える


「西欧近代化」で成功したのは日本とシンガポールだけ

書評 『ハーバードの「世界を動かす授業」-ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方-』(リチャード・ヴィートー / 仲條亮子=共著、 徳間書店、2010)
・・「ジャパン・ミラクル」(=日本の奇跡)というケーススタディから本書が始まるのは、現在に生きる日本人ビジネスパーソンにとっては実に新鮮に写る。 なぜかというと、「ジャパン・ミラクル」とは、1954年から1971年までの17年間も続いた、年率10%以上の高度成長期のことだが、これをただ単に手垢のついた表現である「高度成長」と表現してしまったのでは、ああその話ですかと黙殺してしまう可能性が高い。 しかし、これがヴィートー教授の手にかかると、現在の国際ビジネスを取り巻く環境を理解するための出発点になる。  なぜなら、これだけの長きにわたる高度成長は空前絶後であり、これほど国情と国家戦略がフィットして機能した例は他にないからだ。  この「日本モデル」とその応用発展系である「シンガポール・モデル」を押さえて進める議論は、すんなりとアタマに入りやすい。 いまやシンガポールの一人あたりGDPは日本を越えている」


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