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2016年1月27日水曜日

映画 『猿の惑星』の原作は、波乱万丈の前半生を東南アジアで送ったフランスの作家が1963年に発表したSFである


『猿の惑星』という本を読んだ。言うまでもなくハリウッド映画『猿の惑星』の原作である。

じつは2016年のサル年になるまで知らなかったのだが、原作はアメリカではなく、フランスの作家ピエール・ブールのSF作品だったのだ。創元SF文庫から1968年に日本語訳が出版されている。映画の公開にあわせての出版であろう。

映画の詳しい内容は忘れてしまったので、原作との違いはよくわからないが、1963年という時点で、こういう作品を書いた著者の着眼点にはおおいに感心する。

ここでいうサルとは、ゴリラとチンパンジーを中心とし、さらにオランウータンを加えた「類人猿」である。進化論の観点からいって、ヒトときわめて近い関係にあるサルだ。ちなみに映画版のタイトルは Planet of the Apes であり、類人猿(ape)と明記されているのはそのためだ。

(映画版ポスター)

人間が動物の社会に放り込まれるというシチュエーションは、すでに18世紀の英国の作家ジョナサン・スウィフトが 『ガリバー旅行記』で作り出している。日本ではあまり知られていないが、ガリバーは第4回目の航海で「馬の国」にいくことになっているのだ。

そう考えると、サルが支配する「猿の惑星」に人間が巻き込まれるという発想は、かならずしも目新しいものではないかもしれない。

だが、サルと人間が逆転しているという設定が人間をいたく刺激するのである。しかも、「猿の惑星」においては、人類の文明が衰退して滅亡し、そのあとにサルが支配者となって人類同様の文明社会を築き上げているというのだ。

「類人猿」は、進化論の観点からいって、ヒトときわめて近い関係にある。そう、この原作は、進化論や脳科学といった21世紀現在ではさらに関心が強くなる傾向にあるテーマが一貫しているのだ。進化論に対する抵抗感がまったくない日本人には想像しにくいが、西欧人にとってはかならずしもそうではなかったのである。

 (フランス語原作のカバー)

ピエール・ブール(1912~1994)というフランス人作家についてもまったく知らなかったが、なんとクワイ河マーチで有名な映画『戦場にかける橋』の原作者でもあるらしい。

もともとはエンジニアで、1936年から1939年まで当時は大英帝国領であったマレー半島でゴム園の監督者として勤務したが、第二次大戦中はフランス本国がドイツ支配下に入ったため、東南アジア現地でレジスタンス活動に従事。日本軍に捕まったあと仏印植民地軍に引き渡されて、戦争終了前に脱走となかなか波乱万丈な人生を送っている。

東南アジアだけでなく、アフリカも含めて植民地で前半生を過ごした人である。戦前の植民帝国時代のフランス人である。マレー人や華僑を中心としたアジア人労働者と日常的に接し、間近で観察してきただけでなく、欧州にはいないサルも観察することが容易な環境にいたわけだ。

『猿の惑星』の発想がどこから湧いてきたのかは、著者自身はなにも書いていないのでよくわからないが(・・すくなくとも日本語訳には記述はまったくない)、サルは日本人を含めたアジア人の比喩であるという説をどこかで読んだ記憶がある。

『猿の惑星』をみた日本人は、まさかそんなことだとは考えもしないだろうが、アジア人に対する視線が無意識のうちに著者の思考に影響を与えている可能性はある。

だが、一読してみた印象としては、『猿の惑星』イコール日本人支配という説はどうでもいいような気がする。発想の原点がどこにあるかはさておき、先にも書いたように、作品そのもののテーマはそこにはないからだ。

すでに50年以上前に発表されたSF作品だが、読んでみるとなかなか面白い。興味があるヒトは読んでみるといいと思う。





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