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2016年1月10日日曜日

「世界の英知」をまとめ読み ー 米国を中心とした世界の英知を 『知の逆転』『知の英断』『知の最先端』『変革の知』に収録されたインタビューで読む


2016年にの新年に「世界の知性」のインタビュー集をまとめよみした。いずれも、英語圏を中心とした米英(とくに米国)の知の巨人たちへのインタビューである。以下の4冊がそのリストである

『知の逆転』(吉成真由美=インタビュー・編、NHK出版新書、2012)
●『知の英断』(吉成真由美=インタビュー・編、NHK出版新書、2014)
●『知の最先端』(大野和基=インタビュー・編、、PHP新書、2013)
●『変革の知』(岩井理子訳、角川新書、2015) 

この順番で読んでいったのだが、やはりなんといっても『知の逆転』がダントツに圧倒的だった。本を読んで知的に興奮するということは、そうめったにあることではない。この本は、まさにその「めったにない本」である。

『知の逆転』に収録された賢人たちは、ほはじつにスゴい。いかに列挙してみよう。

ジャレド・ダイアモンド、 ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス 、マービン・ミンスキー 、トム・レイトン 、ジェームズ・ワトソン。いずれもいわゆる理系分野を中心にして、その他の領域にも横断的に語ることのできる「知の巨人」たちである。特定の肩書きでは語ることのできない、横断的知性の体現者たちである。

脳科学の知見のあるインタビューアーならではの「質問力」と「対話力」がフルに発揮されたもので、掲載分量の制約がないので限りなくディープ・インタビューに近い。あらためてこの本の評判がきわめて高いことを確認した次第。遅ればせながら、わたしも「この本は絶対に読むべきだ」、と推奨したい。

『知の英断』は、「エルダーズ」という、カーター元米大統領をはじめとする、一国の首相や大統領を務めた経験の持ち主を中心とした「実践家」たちのグループのメンバーたちへのインタビュー集。ヴァージングループ総帥のリチャード・ブランソンが入っているのは、彼が「エルダーズ」結成の呼びかけ人だからだ。

『知の最先端』のインタビュー対象もまた刺激的だ。心理学者のシーナ・アイエンガー、政治学者のフランシス・フクヤマ、国家の盛衰について研究する経済学者ダロン・アセモグル、テクノロジー評論家のクリス・アンダーソン、経済地理学のリチャード・フロリダ、イノベーション研究者のクレイトン・クリステンセン、作家のカズオ・イシグロだが、一人ひとりの分量が少ないのが残念。例外として、作家のカズオ・イシグロのインタビューは分量も多く読み応えがあった。

 『変革の知』は、韓国を代表するマスコミの「朝鮮日報」に掲載されたもの。同様の趣旨でビジネス思考家を中心とした幅広い人選だが、インタビューを行った人の情報が記載されておらず、しかも一人ひとりの掲載分量が少ないのが残念。ただし、韓国人の目を通したインタビューという点は、日本人によるものとは異なるという点で、「複眼的」になれる点に意味はある。

これらのインタビュー集で取り上げられらた「知の巨人」たちの著書も全部読みたいと思うのだが、なかなかそこまではできないのが残念なところだ。

そう思う人も少ないないと思うが、すぐれたインタビューは著者のホンネが引き出されているので、著書そのものとは違う価値があるかもしれない。


『知の逆転』のなにがスゴいのか

ふたたび『知の逆転』について触れておきたいと思う。この本は、数あるインタビューのなかでもダントツに圧倒的だからだ。インタビュー対象とインタビュアーがマッチングしているからである。

この本でいちばん印象が強いのはチョムスキーである。この本を読むまでじつはチョムスキーはあまり好きではなかった。だがインタビューを読んで、その知的パワーの巨大さには圧倒された。言語学者で政治的発言のきわめて多いチョムスキーだが、インタビューの前半は、なんだかチョムスキーから経済学のレクチャーを受けているような気にさせられた。

インタビュアーの吉成真由美氏は、さすがにノーベル賞学者・利根川博士の伴侶だけに脳科学のベースがある。「門前の小僧」というわけではないが、それが大きな強みになっている。インタビュー対象の人選には MIT人脈も大いに働いているのだろう。インタビューに際しての準備も用意周到に行っていることが推測できる。

 『知の逆転』『知の英断』の両者に共通するのだが、吉成氏のインタビューがすぐれているのは、科学者にも政治家にも、かならず宗教についてたずねていることだ。インタビューの最後に行われているが、これがもしかするとインタビューのキモかもしれない。

宗教や価値観は、個人の内面にかんするものでありながら、じつは生き方にも思考にもおおいに影響を与えているのである。科学者にとっての宗教(の有無)、政治家など実践家にとって、信念の体系である宗教観や価値観は、ある意味ではもっとも重要な要素なのである。

それを聞き出すことができたインタビューだからこそ、じつに印象深いのであろう。



●『知の逆転』(吉成真由美=インタビュー・編、NHK出版新書、2012)

目 次

第一章 文明の崩壊―ジャレド・ダイアモンド
 『銃・病原菌・鉄』から『文明崩壊』へ
 第三のチンパンジー セックスはなぜ楽しいか?
 宗教について、人生の意味について
 教育の将来
第二章 帝国主義の終わり―ノーム・チョムスキー
 資本主義の将来は?
 権力とプロパガンダ
 インターネットは新しい民主主義を生み出すか
 科学は宗教に代わりうるか
 理想的な教育とは?
 言語が先か音楽が先か
第三章 柔らかな脳―オリバー・サックス
 なぜ「個人物語」が重要なのか
 音楽の力 人間に特有の能力について
 生まれか育ちか?
 遺伝子か教育か?
 宗教と幻覚の関係
 インターネットが脳に与える影響
第四章 なぜ福島にロボットを送れなかったか―マービン・ミンスキー
 人工知能分野の「失われた30年」
 社会は集合知能へと向かうのか
 「エモーション・マシーン」としての人間
第五章 サイバー戦線異状あり―トム・レイトン
 インターネット社会のインフラを支える会社
 サイバーワールドの光と影
 アカマイ設立秘話
 大学の研究と産業との新たな関係
 教育は将来、どう変わっていくのか
第六章 人間はロジックより感情に支配される―ジェームズ・ワトソン
 科学研究の将来
 個人を尊重するということについて
 真実を求めて
 教育の基本は「事実に基づいて考える」ということ
 二重らせん物語
  尊厳死について

著者プロフィール
吉成真由美(よしなり・まゆみ)
サイエンスライター。マサチューセッツ工科大学卒業(脳および認知科学学部)。ハーバード大学大学院修士課程修了(心理学部脳科学専攻)。元NHKディレクターであり、子供番組、教育番組、NHK特集などを担当。コンピューター・グラフィックスの研究開発にも携わる。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。






●『知の英断』(吉成真由美=インタビュー・編、NHK出版新書、2014)

目 次  

第1章 戦争をしなかった唯一のアメリカ大統領―ジミー・カーター
第2章 50年続いたハイパーインフレを数か月で解消した大統領―フェルナンド・カルドーゾ
第3章 「持続可能な開発」と「少女結婚の終焉」―グロ・ハーレム・ブルントラント
第4章 「人権のチャンピオン」と「世界一の外交官」―メアリー・ロビンソン&マルッティ・アハティサーリ
第5章 ビジネスの目的は、世の中に "違い" をもたらすこと―リチャード・ブランソン




●『知の最先端』(大野和基=インタビュー・編、、PHP新書、2013)

目 次

第1章 その「選択」があなたの人生を変える(シーナ・アイエンガー)
第2章 共産中国の正統性が失われる日(フランシス・フクヤマ)
第3章 国家の繁栄は「政治制度」がもたらす(ダロン・アセモグル)
第4章 製造業の常識を破壊する「メイカーズ革命」(クリス・アンダーソン)
第5章 オリンピックで倍増する東京の魅力(リチャード・フロリダ)
第6章 日本は「イノベーションのジレンマ」の最先進国だ(クレイトン・クリステンセン)
第7章 愛はクローン人間の悲しみを救えるか(カズオ・イシグロ)


著者プロフィール
大野和基(おおの・かずもと)
1955年兵庫県生まれ。大阪府立北野高校、東京外国語大学英米学科卒業。1979年~97年在米。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。その後、現地でジャーナリストとしての活動を開始、国際情勢の裏側、医療問題から経済まで幅広い分野の取材・執筆を行なう。97年に帰国後も取材のため、頻繁に渡航。アメリカの最新事情に精通している。近年はテレビでも活躍。{本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)






●『変革の知』(岩井理子訳、角川新書、2015)

目 次


第1部 世界を見通す賢人たちの基準
 思いやりや与えることが成功の秘訣(アダム・グラント)
 最高の選択をするためには間違った選択を避けること(ロルフ・ドベリ)
 恐れがあればこそ仕事も人生もアートになる(セス・ゴーディン)
 モノより体験を買う時、もっと幸せになれる(マイケル・ノートン)
 スマートフォンではなく顔を見ないと本当の心は見えない(ジャレド・ダイアモンド)
第2部 代わりのきかない「自分」の創り方
 現代人は皆、顧客の心を虜にしなければならないセールスマン(ダニエル・ピンク)
 競争ではなく、ただ製品のためにエネルギーを使う(フィル・リービン)
 私たちは何か素敵なことをするためにこの惑星に来た(カリム・ラシッド)
 消費者の欲望を読み取るために、まず彼らになってみる(ヤン・チップフェイス)
 あらゆる創造には「人間」に対する熱烈な探究心が必要(ケビン・ファイギ)
第3部 危機を乗り越えた生存戦略
 やると言ったことを実践し、なると言った人にならねばならない(ジョン・ライス)
 世代を見通す「職人」資本主義を学ぶべき(ブルクハート・シュベンカー)
 つまらない1000人より確実な1人に集中せよ(アニタ・エルバース)
 世界を救いたいと夢見たことが私を救った(オリビア・ラム)
 真のリーダーは自分を下に置いてビジョンを提示する(趙玉平)
 社員の感情も管理できる企業が成功する(テレサ・アマビール、ボリス・グロイスバーグ)
 成功する企業は一目で分かる(マイケル・モーリッツ)


訳者プロフィール

岩井理子(いわい・のりこ)
神奈川県出身。日本語教師として韓国に滞在し、帰国後に翻訳者を目指す。現在はDVD/CS放送向けのドラマや映画の字幕翻訳・監修を行うかたわらワイズ・インフィニティ字幕翻訳講師を務める。また実務翻訳にも多数携わる。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)





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