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2017年5月21日日曜日

「特別展 雪村 ー 奇想の誕生」(東京藝術大学大学美術館) にいってきた(2017年5月18日)ー なるほど、ここから「奇想」が始まったのか!


「特別展 雪村-奇想の誕生-」(東京藝術大学大学美術館) にいってきた(2017年5月18日)。なるほど、ここから「奇想」が始まったのかという納得の得られる企画展だ。

企画展のチラシには「ゆきむら」ではなく、「せっそん」です。というコピーがある。雪村(せっそん)といっても、たしかになじみはない。水墨画といえば、雪舟(せっしゅう)というのは日本美術史を知らなくても、日本史レベルの常識だが、雪舟が亡くなった頃に生まれたのが雪村だ。

雪村は、雪村周継ともいう。「コトバンク」記載の情報によれば、以下のようにある。

室町後期・安土桃山時代の画僧。常陸生。周継は諱、別号に如圭・鶴船老人等。田村平蔵と称する。佐竹氏の一族で武家を継がず禅僧となる。周文・雪舟の画風を慕い、のち独自の特色を発揮して一家を成す。最も山水に長じ、花鳥・人物も能くした。生歿年不詳。

生没年は、wikipedia情報によれば、永正元年(1504年)? 生まれで、天正17年(1589年)頃没、とある。雪舟が、応永27年(1420年)年生まれで、永正3年8月8日(諸説あり)(1506年)なので、この両者には直接の接触はない。関東で生涯を送った雪村に対し、雪舟は西日本で活躍していた。

「奇想」といえば、ここ数年で日本でも再評価の著しい曽我蕭白(そが・しょうはく)が想起されるが、雪村はその先駆者ともいうべき存在なのだ。

雪村の全盛期の作品をみれば、それはすぐにでも納得できることだ。

まずは、「呂洞賓図」。龍のアタマの上に立って上空を見上げる仙人の容貌が、マンガ的としかいいようがない。長いひげが風になびき、ぎょろ目で上を見上げている。説明書きを読むと、壺のなかからでてきた子どもの龍を、上空から親(?)の龍が見ているのだそうだ。

「呂洞賓図」(16世紀)

つぎに、「琴高仙人・群仙図」。水中から巨大な鯉とおぼしき大魚の背中に乗って浮上してきた仙人を、左右から複数の仙人たちが眺めている構図。

「琴高仙人・群仙図」(16世紀)

いずれの仙人の表情も面白いのだが、鯉の背中にに乗っている仙人が、なんだか暴れ馬か大型バイクを乗りこなしているかのような印象を受ける。常識的にありえない構図だが、なんだかリアルな感じもして、その落差が妙に面白い。鯉の背中に乗る仙人の顔がやけに真剣なのだ(笑) 

「琴高仙人・群仙図」の中心部の拡大

つぎに、「鍾馗図」。鍾馗(しょうき)じたいは、現代の日本でも比較的知られているだろうが、虎退治をしているのではなく、虎をあやしながら、右前方の敵をにらみつけている構図なのだそうだ。日本にはいない虎を描いた絵師は多いが、この虎もなんだか大きなネコのようであるのがおかしい。

「鍾馗図」(16世紀)

「特別展」のサイトには、以下のような全体説明がある。

戦国時代、東国で活躍した画僧、雪村周継せっそんしゅうけい。武将の子として生まれながら出家して画業に専心した雪村は、故郷の茨城や福島、神奈川など東国各地を遍歴しました。その生涯は未だ謎に包まれていますが、ひときわ革新的で、また人間味あふれる温かな水墨画を描き続けた、ということだけは確かです。この展覧会は、雪村の主要作品約100件と関連作品約30件で構成される最大規模の回顧展です。伊藤若冲、歌川国芳など「奇想」と呼ばれる絵師たちの「先駆け=元祖」とも位置づけられる、今まさに注目すべき画家、雪村。雪村の「奇想」はどのようにして生まれたのか、その全貌に迫ります。

先に、18世紀の江戸時代中期の曽我蕭白(そが・しょうはく)の名を引き合いに出したが、「奇想」の系譜からいえば、さらにおなじく18世紀の伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)や19世紀の江戸時代後期に生きた歌川国芳(うたがわ・くによし)も名をあげるべきなのだ。

さらには、意外なことだが、尾形光琳なども雪村を意識していたのだという。

琳派の代表絵師である尾形光琳は、雪村を思慕し、模写や雪村を意識した作品を数多く残しました。近世には狩野派、近代では狩野芳崖、橋本雅邦らが雪村を研究します。本展は、雪村に影響を受けた後世の絵師の作品の数々もご覧いただきます。

雪村の作品は、16世紀の画家のものとしては例外的に現存しているものが多いのだという。

また、「電力王」「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門(1875-1971)や「マネジメントの父」ピーター・F・ドラッカー(1909-2005)も雪村に魅せられ作品を所蔵するなど、現代に至るまで多くの知識人たちを魅了してやみません。

『ドラッカー・コレクション 珠玉の水墨画- 「マネジメントの父」が愛した日本の美-』(千葉市美術館) のポスターには、「ドラッカー・コレクション」から雪村の 「月夜独釣図」が使用されている。

なるほど、見る人は見ていたのだな、と思わされるのだ。

東京での展示はもう終わってしまうが、巡回展として滋賀県の MIHO MUSEUM で公開される。今回の東京での展示も、いくかいかないか迷ったすえに結局いくことにしたのだが、それはまったくもって正解だった。

日本がほこるマンガやアニメの原点として、平安時代の鳥羽僧正の「鳥獣戯画」が語られることが多いが、室町時代に中国の水墨画や禅画が日本流にローカライズされて発生してきた「奇想」というテーマ。

「奇想」の系譜は、日本人ならかならずフォローしておきたいものであると思うし、まあそういうむずかしい話は別にして、こんな奇妙きてれつで面白おかしい作品を見ないのはもったいないと思うのである。







<関連サイト>
「特別展 雪村-奇想の誕生-」(東京藝術大学大学美術館)

【巡回予定】
会場: MIHO MUSEUM (滋賀県)
会期: 2017年8月1日(火)~9月3日(日)





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・・ポスターには、雪村周継 「月夜独釣図」


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