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2017年8月27日日曜日

NHK海外ドラマ 『女王ヴィクトリア 愛に生きる』(全8回)が面白い(放送:2017年7月30日~9月17日)-18歳で即位してからの4年間を描いた歴史ドラマ

(NHKの番組公式サイトより)


NHK海外ドラマ 『女王ヴィクトリア 愛に生きる』(全8回)が面白い。

1回から3回まで見逃してしまったが、第4回から見ている。4回目はは将来の夫となるアルバート公との再会。5回目はアルバートとの結婚まで。

NHK7による「番組内容紹介」を見ておこう。

女王だって、愛されたい…長きに渡って大帝国を治めたイギリスの女王ヴィクトリアの孤独と愛を描いた歴史ドラマ。1837年、大英帝国が栄華を極めた時代。即位したヴィクトリアは、わずか18歳だった。 父を早くに亡くし、ドイツ人の母の影響で閉鎖的な環境で育ったヴィクトリアは、突然の即位に戸惑いながらも、女王らしく振る舞おうとする。だが、周囲にはなかなか認められず、孤独な思いを深めていく。 やがてヴィクトリアは、運命の男性、アルバートと出会い、恋に落ちる。2人は周囲の大反対を押し切って結婚。しだいに国民の信頼を得る。 主演は「ドクター・フー」で人気を集めた若手俳優ジェナ・コールマン。声を演じるのは、今、大注目の俳優、蓮佛美沙子。吹き替えに初挑戦! 原題:Victoria 制作:2016年 イギリス

このドラマは公共放送のBBC製作ではなく、英国の民放ITVの製作によるものだ。2016年の製作である。原題は、Queen Victoria  Every Inch A Queen  しいて日本語訳したら、「女王ヴィクトリア-頭のてっぺんから爪の先まで女王」とでもなろうか。



wiikipediaによれば、ITV(Independent Television:独立テレビジョン)は、イギリス最大かつ最古の民間放送局で、1955年9月に放送開始。主に娯楽番組でBBCと競合してきた。法律上は「Channel 3」、とある。


(英国で発売されているDVD)

大英帝国の最盛期は19世紀のヴィクトリア女王の時代1837年に18歳で即位してから、1901年に亡くなるまでの在位はなんと62年間。現在の女王エリザベス二世に記録が破られるまで、英国史上最長の在位期間と長寿を誇った、まさに大英帝国そのものといってよい女王であった。

そしてヴィクトリア女王の時代に、英国では立憲君主制が確立していく。そのプロセスにおいては、女王と議会のあいだでは、さまざまな軋轢や確執があったことは、『ヴィクトリア女王-大英帝国の "戦う女王"』(君塚直隆、中公新書、2007)を参照。

この歴史ドラマは、ヴィクトリアが18歳で女王に即位してから、結婚して出産するまでの4年間を描いている。


女王ヴィクトリアの配偶者となったアルバート公

女王ヴィクトリアの夫になったのアルバート公。

女王ヴィクトリアの母ケント公后の実兄でザクセン=コーブルク公爵エルンストの息子「アルベルト」が、英国王室に入って「アルバート」になる。

女性の視聴者はヴィクトリア女王に感情移入して見るのだろうが、男性としては女王の配偶者となったアルバート公にも関心が向かうだろう。政治の世界であれそれ以外であれ、表舞台に出て活躍する女性の配偶者というポジションに関心が向かうからだ。

英国では現在のエリザベス二世もそうだし、サッチャー元首相などもそうだったが、独身だったわけではない。それぞれハズバンドがおり、子どもを産んでいる。

社会的に活躍する女性の配偶者がいかなる「内助の功」を発揮したのか、しなかったのか。あるいは、いかなる精神的プレッシャーのもとにあって苦悩(?)していたのか、と。

こういう観点からアルバート公にも注目したいのである。英国は、この点にかんして「先進国」であり、アルバート公は先駆的なロールモデルと位置づけることもできるだろう。共和制をとる米国ですら、この事例はいまだに発生していない。


そもそも現在の英国王室の出自はドイツ系

現在の英国王室は、ドイツ北部のハノーファー公国出身のハノーヴァー朝であった。その意味では、配偶者となったアルバート公がドイツ系であったこともなんら不思議ではない。

現在のウィンザー朝に改名されたのは第一次世界大戦に入ってからである。排外的なナショナリズムがエスカレートしていった時代戦争遂行上の観点から国民との一体感を図り、国民との一体感を高める必要が生じたからだ。

第一次世界大戦後に帝国がつぎつぎと解体し王室も消えていく前は、支配者である王室と領土に居住する被支配民とはまったく別個の存在だったのである。


■ヴィクトリア女王は身長150cm(!)と小柄だった

現在の女王エリザベス二世も150cmくらいで小柄だが、女王ヴィクトリアも150cm未満と小柄だったのは歴史的事実だ。

このドラマでも、女王ヴィクトリアを演じている女優のジェンナ・コールマンは身長157cmと比較的小柄で、ヴィクトリア女王を演じるにはふさわしい。

晩年は小柄で太っていたので、英国ではカリカチュアの対象となっていることは、『笑う大英帝国-文化としてのユーモア-』(富山太佳夫、岩波新書、2006)に何枚も掲載さえているカリカチュア(風刺画)でよくわかる。英国では女王も(=国王も)、平気でからかいの対象となる。


日本の戦国時代や幕末を舞台にした「歴史ドラマ」と比べたら、日本人視聴者の関心度合いは低いだろうが、ドラマとしても十分に楽しめる作品だ。英国に関心があれば、なおさら楽しめるだろう。





◆番組放送予定 全8回(内容紹介はNHK公式サイトより)


第1回 「若き女王」(2017年7月30日)
1837年、イギリス国王ウィリアム4世が逝去し、18歳の若き女王ヴィクトリアが誕生する。しかし、その若さゆえに周囲は彼女の能力を不安視する。実の母のケント公妃とその側近コンロイは摂政となることを画策し、女官選びも思うようにはかどらない。そんなヴィクトリアに救いの手を差し伸べたのは首相のメルバーンだった。

第2回 「失えない味方」(2017年8月6日)
ヴィクトリアの唯一の理解者であったメルバーンが、議会で自身が率いる政党の立場が弱くなっていることを理由に首相を辞任する。次の首相候補はピール。しかし、ヴィクトリアはピールのことが気に入らず、王室の支持を得られないピールは組閣を進めることができない。そんなヴィクトリアの振る舞いを見て、周囲は女王の精神状態を不安視し、水面下で権力争いが繰り広げられる。

第3回 「結婚の圧力」(2017年8月13日) 
ヴィクトリアの叔父でベルギー国王のレオポルドがやってくる。甥のアルバートとの縁談を進めるためだった。だがヴィクトリアにその気はない。メルバーンに対する信頼の気持ちが、それ以上のものであることに気づいたからだ。一方、メルバーンにもヴィクトリアを思う気持ちはあるが、自分の年齢や立場を考えると素直に突き進むわけにはいかなかった…。

第4回 「運命の再会」(2017年8月20日) 
コーブルクから、エルンストとアルバートの兄弟が到着。久しぶりに会うアルバートにヴィクトリアは胸をときめかせるが、生真面目で正直者のアルバートは、チヤホヤされることになれきったヴィクトリアを余計な一言で怒らせてばかり。アルバートはヴィクトリアの中にあるメルバーンへの思いにも気づいていた。2人の距離を縮めようとエルンストが尽力する。

第5回 「世紀の結婚」(2017年8月27日) 
ヴィクトリアとアルバートの婚約が決まる。しかし、物事は簡単には進まない。議会ではドイツ人のアルバートに、強い反発の声があがる。さらにアルバートの待遇は保障されておらず、何らかの爵位と年金が欲しいとヴィクトリアに訴える。そのことをいぶかしむヴィクトリアだったが、メルバーンや周囲の人々から叔父たちの年金の使い道を聞いて、ショックを受ける。

第6回 「女王の秘策」(2017年9月3日) 
新婚生活を始めたヴィクトリアとアルバート。しかし宮中ではアルバートの立場が低く見られており、そのことにヴィクトリアは憤慨。それを解消するためにある秘策を思いつく。一方、アルバートは、自分の力を発揮できる場所がないことにいらだちを覚えていた。そんな時、反奴隷制会議での開会スピーチをする機会に恵まれる。

第7回 「波乱の予感」(2017年9月10日) 
ヴィクトリアが懐妊する。しかし、手放しで喜べるわけではなかった。もしヴィクトリアが出産で命を落とし、子が生き残った場合に備えて摂政を任命しなければならない。当然、父となるアルバートを指名したいヴィクトリアと、ドイツ人が国政に関与する可能性に拒絶反応を示す政界。果たして打開策は見つかるのか?

第8回 「出産」(2017年9月17日) 
ヴィクトリアの出産が近づき、宮中に緊張したムードが漂う。さらにハノーバー国王となった叔父カンバーランドが帰国する。出産でヴィクトリアと子が命を落とせば、念願のイギリス国王になれるからだ。周りの心配をよそに、じっとしていられないヴィクトリアは馬車で頻繁に外出をしていた。ある日、女王を歓迎する群衆の中に銃を構える男が…。





PS 大英帝国の絶頂期は「第2次グローバリゼーション」の19世紀

拙著 『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)の「第5章 「第2次グローバリゼーション」時代と「パックス・ブリタニカ」-19世紀は「植民地帝国」イギリスが主導した」を参照。

王室関連の話題は取り上げていないが、社会史的な側面から大英帝国と植民地インド、そして日本を含めた全世界に与えた影響について書いてある。

大英帝国が覇権を握っていた時代である「第5章」の目次を掲載しておこう。太字ゴチックが大英帝国に直接関係している事項である。

1 大英帝国が世界を一体化した
2 「交通革命」と「情報通信革命」で地球が劇的に縮小
3 大英帝国内の大規模な人口移動
4 帝国主義国による「中国分割」と「アフリカ分割」
5 英米アングロサクソンの枠組みでつくられた「近代日本」
6 「西欧近代」に「同化」したユダヤ人とロスチャイルド家
7 「産業革命」は人類史における「第二の波」
8 「ナポレオン戦争」が「近代化」を促進した
9 「フランス革命」で「ネーション・ステート」(=民族国家・国民国家)と「ナショナリズム」は「モデル化」された
10 「アメリカ独立」は、なぜ「革命」なのか?





PS2  『女王ヴィクトリア 愛に生きる』を題材にしてコラム記事を執筆

ウェブメディアのJBPressの連載コラムに、「「先進的」伝統を作り出した英国の2人の女王-脇役のアルバート公もロールモデルに」(2017年9月26日)を執筆しました。歴史ドラマの見方についてもコメントしてありますので、ぜひ読んでいただければ幸いです。

(2017年9月29日 記す)



<ブログ内関連記事>

書評 『大英帝国という経験 (興亡の世界史 ⑯)』(井野瀬久美惠、講談社、2007)-知的刺激に満ちた、読ませる「大英帝国史」である

書評 『大英帝国衰亡史』(中西輝政、PHP文庫、2004 初版単行本 1997)-「下り坂の衰退過程」にある日本をどうマネジメントしていくか「考えるヒント」を与えてくれる本

書評 『大英帝国の異端児たち(日経プレミアシリーズ)』(越智道雄、日本経済新聞出版社、2009)-文化多元主義の多民族国家・英国のダイナミズムのカギは何か?

書評 『イギリス近代史講義』(川北 稔、講談社現代新書、2010)-「世界システム論」と「生活史」を融合した、日本人のための大英帝国「興亡史」

映画 『マーガレット・サッチャー-鉄の女の涙-』(The Iron Lady Never Compromise)を見てきた

ダイアナ元妃の悲劇的な事故死(1997年8月31日)から20年-神に愛された人は早死にし、永遠に生き続ける

JBPress連載第9回目のタイトルは、「「先進的」伝統を作り出した英国の2人の女王-脇役のアルバート公もロールモデルに」(2017年9月26日)

(2017年9月29日 情報追加)




(2017年5月18日発売の新著です)


(2012年7月3日発売の拙著です)






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