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2018年1月8日月曜日

『神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展』(東京・渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアム)にいってきた(2018年1月7日)ー 2017年に開催された『アルチンボルド展』(国立西洋美術館・上野)を補完する企画展



『神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展』(東京・渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアム)にいってきた(2018年1月7日)。1月6日に始まったばかりの企画展だ。

ルドルフ2世は16世紀後半の人。帝都をウィーンからボヘミア地方のプラハに移動、ややこしい現実政治に関心を失ってから、居城に引きこもって夢想の世界に没入し、南米大陸も含めた全世界からの収集品で構築した「驚異の部屋」という独自の世界を作り上げた生涯独身男。19世紀後半のバイエルン国王、狂王ルートヴィヒ2世に比較してみることの出来る人だ。

この展示会は、そんなルドルフ2世とその時代を、お抱えの天才アーチストのアルチンボルドなどによる絵画作品や、ティコ・ブラーエやケプラーなどの天文学をはじめとする科学者や魔術師たちの書籍やアイテム、その他もろもろの収集品で再構成しようとした試みだ。

昨年、東京国立西洋美術館で開催された 16世紀「マニエリスム」の時代を知的探検する企画であった 「アルチンボルド展」(国立西洋美術館・上野) を補完するような内容であるといえようか。

ただ、期待していたのとは違って、ちょっとがっかりしたというのが正直なところだ。『アルチンボルド展』で展示されなかった「ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像」(上掲のポスターの画像)を見ることができたのは良かったのだが、「驚異の部屋」というには、あまりにもその要素が欠けていたから。

美術と科学とガラクタがおもちゃ箱のように混在しているのが、17世紀を中心に西欧の王侯貴族のあいだで大流行した「驚異の部屋」(ドイツ語で Wunderkammer ヴンダーカマー)というもの。だが今回の企画展で、それが再現されていたとは言い難い。

いっそのこと、すべて複製品でいいいから「ルドルフ2世の驚異の部屋」を再現するか、あるいは CG を使用した 3D映像で VR(バーチャル・リアリティ)体験させるような企画のほうがよかったのではないか?

まあ、そんなことはわたしの勝手な夢想だが、今回の展示でよかったのは、出口の前の特別展示スペースに置かれていた、現代美術家フィリップ・ハース氏による、アルチンボルドの『四季』の立体3D彫刻作品だ。ファイバーグラスに着彩したもので2000年の作品である。この作品だけは写真撮影OK(下記の写真参照)。

(アルチンボルドの『四季』の立体3D作品 筆者撮影)


(アルチンボルドの「冬」による彫刻 筆者撮影)

(アルチンボルドの「春」による彫刻 筆者撮影)

この試みをさらに一歩進めれば、わたしが夢想するような「ルドルフ2世の驚異の部屋」ができたかもしれないのに・・・。

とはいっても、美術館にそれを期待してもムリかもしれない。この手の企画展は、動物の剥製や鉱物などふんだんに所蔵している国立科学博物館で開催した方がよかったのではないかと思うのだ。ミュージアムはミュージアムでも、「美術」館ではなく「博物」館の方である。


ところで、収集という行為は資本主義そのものだと水野成夫氏ならいうだろう。だが、ルドルフ2世の収集活動を資本主義とムリに結びつける必要はないと思われる。

いつの時代でも、収集に熱中し、浮き世離れしてしまう者は、洋の東西を問わず、時代の新しい古いを問わず存在してきた。しかもその大半は男性だ。したがって、収集行為における性差を考えれば、むしろ資本主義を超越した普遍的なテーマというべきではないだろうか? ルドルフ2世もまた、現実逃避傾向のある独身男性だったことを想起すべきである。

話はそれたが、ルドルフ2世という際だった個性のコレクターとその時代を知るには好企画ではある。また、コレクションの本質について考えるのも面白い。この企画展は、そんな機会として活用してほしい。






<関連サイト>

『神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展』 公式サイト



<ブログ内関連記事>

「アルチンボルド展」(国立西洋美術館・上野)にいってきた(2017年7月7日)-16世紀「マニエリスム」の時代を知的探検する

書評 『愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎』(小宮正安、集英社新書ヴィジュアル版、2007)-16世紀から18世紀にかけてヨーロッパで流行した元祖ミュージアム ・・まさにアルチンボルドとルドルフ2世の時代精神そのもの

書評 『猟奇博物館へようこそ-西洋近代の暗部をめぐる旅-』(加賀野井秀一、白水社、2012)-猟奇なオブジェの数々は「近代科学」が切り落としていった痕跡 
・・この本もぜひ。おなじく17世紀から18世紀にかけてのフランスを中心に

書評 『身体巡礼-[ドイツ・オーストリア・チェコ編]-』(養老孟司、新潮社、2014)-西欧人の無意識が反映した「文化」をさぐる解剖学者の知的な旅の記録
・・カトリックの擁護者であったハプスブルク家の「心臓信仰」を取り上げている。また、プラハのユダヤ人墓地の話も面白い。あえて付け足せば、ゴーレム伝説は16世紀のプラハのカバリストによるものであり、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の時代のプラハであったことを企画展でも取り上げて欲しかった

「大英自然史博物館展」(上野・科学博物館)にいってきた(2017年4月19日)-子どもはもちろん、大人も知的興奮を隠せない絶対に見にいくべきイベントだ!
・・この博物誌的収集活動は大英帝国が主導した資本主義そのものだが、その前史としてルドルフ2世も想起するといい

『生誕150年企画展 南方熊楠 100年早かった智の人』(国立科学博物館 東京・上野)に行ってきた(2017年12月22日)-「グローカル」で「智の巨人」であった南方熊楠の全体像を知る企画展


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